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インタビューInterview

相続の『不安』を『安心』に変える! 顧問契約を結んで事前対策をサポート

2017/04/04

海野 裕貴 税理士

 相続の事前対策のサポートに力を入れている海野裕貴税理士。相談者やその家族全員の想いを一番に考え、専門家としての考え方を押し付けない姿勢が支持され、多くの資産家から顧問契約を依頼されている。

――相続の事前対策を積極的にサポートしていると聞きました。
 開業当初から相続支援に力を入れていましたが、相続発生後に相談を受けても、打てる対策はほとんどありません。中には、もっと事前に対策を打っていれば適正な納税額になったというケースも多く、セミナーなどで事前対策の重要性を訴えながら実際にお手伝いしていくうちに、お客様が少しずつ増えていきました。


 ――事前対策はどれくらいの期間をかけて行っていますか。
 資産規模によって異なりますが、資産が多い場合は3年から5年くらいかかります。流れとしては、現状分析から有効な対策を検討し、1年ごとにPDCAサイクルを回しながら進捗状況をチェックしていくわけですが、最も重要で骨が折れるのは、現状分析のところですね。


――現状分析とは、財産の確認という意味でしょうか。
 財産の確認も重要ですが、それ以上に大事なのは、相談者やその家族の意向を確認することです。相続財産についてどのような考えを持っているのか、どんな事前対策を望んでいるのか、関係者全員の想いを聞かせてもらう必要があります。とはいえ、赤の他人に対して、最初から自分の気持ちを正直に語ってくれる人はほとんどいません。相続のお手伝いをする場合、まずは信頼関係を構築することが重要なカギとなります。全員から想いを聞き終えるまで、こちらから提案することは一切ありません。


――専門家としてアドバイスすることもありませんか。
 その時点ではありません。確かに、多くの相続案件に携わっていくと、様々な事例が蓄積されていきますので、相談者と話をしているうちに、どのような対策を打つのがベストなのか、専門家としての答えがぼんやりと見えてくるものです。しかし、私自身が最高の対策だと思っても、お客様はそこまで望んでいないかもしれません。相続案件の場合、お客様のニーズや満足度は、一人ひとり異なります。相続税の節税に繋がる対策が、すべてのお客様にとってプラスなのかといえば、そうではないわけです。相続の専門家だからこそ、自分の理想をお客様に押し付けてしまいがちですが、それは自己満足に過ぎません。


――事前対策が終わった後、実際に相続が発生して相続税の申告を依頼されることもありますか。
 事前対策に携わったお客様のところで相続が発生した場合、相続税の申告も引続きお願いされています。内情をすべて熟知していますので、相続人の方々から安心だと言われますが、同時に、私自身も安心して仕事をすることができます。相続税の案件は、見ず知らずの方から依頼されることも多く、リスクをともなう仕事といえます。ここでも信頼関係が重要となりますが、それでも怖い部分はあります。税務顧問として長年付き合ってきた関与先に相続が発生しても、事前対策なしで相続税の申告を引き受けると、相続人の想いなども分かりませんので、予想外のトラブルが起きることも考えられます。相続の事前対策というのは、お客様のためでもあり、相続税の申告に携わる専門家のためにも重要な意味を持っているわけです。


――相続の事前対策でアドバイスを求める方は、今後さらに増えてきそうですね。
 相続税の増税によって、そうした方々がさらに増えてくるのは間違いないでしょう。財産を遺す方も、財産を受け取る方も、実際に相続が起きるまで、ずっと心の奥に不安を抱えながら生活していますので、そうした不安を『安心』に変えるお手伝いをこれからも続けていきたいと思います。

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